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NPO発足記念講演会(2)

NPO発足記念講演会(2)
21年8月2日(日)


修復腎移植再開へ
臨床研究をどう進めるか


小川 由英先生(東京西徳洲会病院常勤顧問)


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<プロフィール>
おがわ・よしひで 長野県出身。慶應義塾大学医学部卒。米国バージニア医科大学移植血管外科クリニカルフエロー(米国医師免許証取得)。筑波大学臨床医学系(泌尿器科) 講師、順天堂大学医学部(同)・同大学院研究科助教授、慶應義塾大学医学部(同) 非常勤講師、琉球大学医学部(同) 助教授、教授兼科長、血液浄化療法部部長、医学部産業医などを歴任。1998年、文部省短期在外派遣研究員として、アイオワ大学とメイヨークリニック留学。同年度から2007年度まで10年間、琉球大学でJICA支援の泌尿器科臨床研修を毎年実施(途上国28カ国から56人余りが参加)。現在、琉球大学医学部名誉教授。東京西徳洲会病院常勤顧問。日本泌尿器科学会・臨床腎移植学会、日本腎臓学会、日本東洋医学会などの専門医と指導医。産業医。
日本泌尿器科学会 坂口賞 (1982)、泌尿紀要稲田賞 (1993)、慶應義塾大学田村賞特別賞 (同)受賞。第34回日本腎臓学会西部学術大会優秀演題 (2004)。臓器移植対策の功績に対し厚生労働大臣表彰(2006)



東京西徳洲会病院常勤顧問・小川由英先生の記念講演概要

<小川先生のコメント>
NPO法人移植への理解を求める会の発足、おめでとうございます。

3年前から万波先生を中心とする病腎移植(修復腎移植)が、医学的に妥当性がないと指摘され、自粛していました。患者さんからの強い要請と万波先生を中心とするグループの熱意が、徳洲会の徳田理事長を動かし、昨年(2008年)秋ごろ、「リストア腎移植の臨床研究を取りまとめてほしい」との要請が能宗事務総長からありました。

この件に関しては全く知識がなく、私より経験の深い諸先輩がいらっしゃるのも知らず、軽い気持ちで受けさせていただきました。11月になり、葉山の幹部会で方向性が決められ、実施計画書の作成に取り組みました。厚生労働省が1月にがんを含め、対象疾患に制限を加えないとの見解を示したことは、臨床研究を後押しすることとなりました。

今年1月、2月と共通倫理委員会においてヒヤリングを受け、そろそろ形が整ってきたところで、生体腎移植で病気腎ドナーとなりそうな症例が見つかり、まずは生体腎移植の修復腎移植の実施計画書をと頑張り、4月のヒヤリングの後、6月に条件付きで承認されました。本丸である第三者を対象とする修復腎移植の実施計画書を作成し、7月の共通倫理委員会において条件付きで承認されました。現在、指摘された点を修正しています。

 親族間の生体腎移植の対象は、腎臓の提供者の腎臓に病気が見つかった場合で、5つの疾患を挙げています。1)単発の小径腎腫瘍 2)腎のう胞 3)腎血管病変(腎動脈狭窄、腎動脈瘤、腎動脈奇形) 4)尿管病変(尿管狭窄、尿管腫瘍) 5)腎結石(尿路感染を合併しない)などを対象にします。第三者間の生体腎移植は、小径腎腫瘍を対象といたします。

東京西徳洲会病院と宇和島徳洲会病院が移植病院として承認され、ドナー提供病院として、数カ所の徳洲会病院が協力してくれることになっています。また、協力病院として2病院が参加協力を約束してくれました。これから出来上がった実施計画書に従い、万波先生を中心に修復腎移植を実施していきます。可能な限り、落ち度のないように慎重に実施していく所存です。

なお、この実施計画書作成には、多くの方々(共通倫理委員会とオブザーバーの先生、徳洲会グループの先生と協力病院の先生)の貴重なご意見と、実際に作成に参加してくださった未来研の皆様(山路、歌田、土佐、渡邉、久松)、現場で汗を流してくださったコ―デイネーターの皆さん(工藤、船間、ライハン、夏原)と、情報を提供してくださった徳洲新聞の方々にも大変お世話になりました。

これらの皆さまのご指導を出来る限り有効に活用して、よい臨床研究が実施できるように頑張りますので、これからも、皆さまよろしくお願い申し上げます。NPO移植への理解を求める会の皆様のご支援もよろしくお願いいたします。



<小川先生講演概要>

小川でございます。私に与えられたテーマは「修復腎移植をどのように進めるか」ということです。

当初まことに申し訳ないが私はあまり修復腎移植に関して知らなかったが、私がどのように苦悩してこれに参加して臨床研究に関していろいろ計画したかについてお話させていただきたい。

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小川先生のラオスでのプロジェクト活動等について

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呉共済病院・光畑直喜医師の修復腎移植

・1991年3月23日(土)付全国紙は、呉共済病院で1991年1月25日に修復腎移植が実施され、同年3月22日に無事患者さんが退院されたことを大きく報じた。
・記事内容
 「広島県呉市の呉共済病気で、慢性腎不全の男性公務員(44歳)に、腎動脈リュウを切除した75歳の患者から腎臓を移植する手術が行われ、患者は22日、術後約2ヶ月ぶりに退院した。高齢で非血縁者のドナーによる手術成功は珍しい」
 「腎臓を提供したAさん(75歳)は、左の腎臓と大動脈をつなぐ腎動脈に3センチ大の動脈リュウが見つかった。普通は腎臓ごと摘出して切除するが、高齢のため腎臓を再び体内に戻すと合併症の危険があり、Aさんの同意を得て血液型の一致する公務員への移植に踏み切った」といい、
「手術は3時間半がかりで行われ、術後の経過も良好。「移植をあきらめかけていた矢先だったのでうれしい。感謝の気持ちでいっぱい」と、4月からの職場復帰を楽しみにしている」という。
「主治医の光畑直喜・泌尿器科医長は、「切除した腎臓を活用できた珍しいケース。血液型の適合、正常な腎機能など幸運な面もあった」と話している。

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修復腎移植、献腎移植、生体腎の生着率について

修復腎移植は、ドナーやレシピエントが高齢であったことを考慮すれば、献腎移植(死体腎移植)とほぼ変わらない良好な成績である。

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<倫理委員会と未来研による長期のご指導>

経緯

・昨年(平成20年)秋「リストア腎移植の臨床研究を取りまとめてほしい」との要請が能宗事務総長からあった。

・11月、葉山の幹部会で方向性が決められ、実施計画書の作成に取り組む。

・21年1月、厚生労働省ががんを含め対象疾患に制限を加えないとの見解を示し、臨床研究を後押しすることとなった。

・今年1月、2月と共通倫理委員会においてヒヤリングを受け、そろそろ形が整ってきたところで、生体腎移植で病気腎ドナーとなりそうな症例が見つかり、まずは生体腎移植の修復腎移植の実施計画書をと頑張り、4月のヒヤリングの後、6月に条件付きで承認された。

・第三者を対象とする修復腎移植の実施計画書を作成し、7月の共通倫理委員会において条件付きで承認された。現在、指摘された点を修正している。

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<問題点のまとめ→実施計画書作成へ>

・ドナーの疾患治療が第一であり、移植を優先しない

・ドナー患者の体力を考えて、腎摘出に疑問がないように

・腎機能が非常に低くなる患者は腎温存に最善を尽くすべき

・腎がんの疑いで摘出する場合、MRI(磁気共鳴画像装置)検査や手術中の病理検査をすれば、摘出を免れる可能性が高い。

・手術と臨床研究参加の同意書が必要

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共通倫理委員会の構成について

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<修復腎移植の流れ>

東京西徳洲会病院と宇和島徳洲会病院が移植病院として承認され、ドナー提供病院として、数カ所の徳洲会病院が協力してくれることになっている。また徳州会以外に2病院が参加協力する予定。

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<ドナー適格基準>

第三者間の修復腎移植は、小径腎腫瘍を対象

・腎機能は、CT、MRIなどの画像診断で評価可能な病巣が明らかに認められ、小径腎腫瘍(4㎝以下)が単発であり、画像上他の病巣が腎に認められない場合で、臨床的に腎摘も選択肢と考えられる症例

・年齢20歳以上である

・手術法としては、腎部分切除、腎摘後自家腎移植、腎摘などがあり、それぞれの特徴(合併症などを含めて)を理解した上で、腎摘の妥当性が客観的に説明されている

・上記(3)を理解した上で、腎摘を希望する

・病名・病状を告知されており、臨床研究に参加することを文書にて同意していること

親族間の生体腎移植の対象は、腎臓の提供者の腎臓に病気が見つかった場合で、5つの疾患を対象  1)単発の小径腎腫瘍(長径4㎝以下) 2)腎のう胞 3)腎血管病変(腎動脈狭窄、腎動脈瘤、腎動脈奇形) 4)尿管病変(尿管狭窄、尿管腫瘍) 5)腎結石(尿路感染を合併しない)など

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<レシピエント登録から順位決定>

・移植実施病院を希望者(移植施設の患者、徳洲会グループの患者、他の病院からの紹介)が受診、診察の上、ネットワークに臨床研究に参加登録、クロスマッチ用採血

・ドナーが発生→移植事務室レシピエント候補選定依頼→ネットワークで候補5名提示

・移植事務室→移植病院へクロスマッチ依頼・修復腎移植検討委員会で順位決定

・移植病院にてレシピエント候補の決定(移植手術同意書・臨床研究参加の再確認)

・共通倫理委員会にて、レシピエントの審議と承認

・レシピエント確定→腎移植

(補足)

・当初、「修復腎移植ネットワーク」をNPO法人「移植への理解を求める会」内に設置し、移植希望患者の登録を行うと計画していましたが、NPO法人があっせんすることは事実上困難なため、徳洲会がレシピエントを選定・登録することとなりました。

そしてNPO法人「移植への理解を求める会」内に設置した「修復腎移植臨床研究に関するレシピエント判定委員会」が、徳洲会が選んだレシピエントの妥当性などをチェックする方式にすることを検討しています。

・レシピエント判定委員会は、愛媛大法文学部の吉田亮三教授(経済原論)「NPO法人「移植への理解を求める会・理事」」が委員長を務め、県内の医師や弁護士ら5人が委員となる予定です。

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<これから何をしたいか>

・臨床研究後に、修復腎移植を先端医療→保険診療へ

・宇和島、東京西で万波先生を中心として修復腎移植の更なる改良と普及

・腎部分切除と自家腎移植の普及

・ブルガリア、インドネシアなどを含めた途上国への腎移植・泌尿器科手術の普及など
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by shufukujin-katudo | 2009-08-19 11:40 | 21.8.2NPO発足記念講演会(2)