NPO発足記念講演会 21年8月2日(日) -「NPO法人移植への理解を求める会」臨時総会- 平成21年8月2日(日)午前11時から、NPO法人「移植への理解を求める会」は、愛媛県宇和島市のJA宇和島農協会館において、「NPO法人移植への理解を求める会」臨時総会を開催し、 ①2009年度事業計画案 ②修復腎移植・臨床研究レシピエント判定委員会の設置について ③臨床研究基金の設置について ④2009年度予算案について 等を討議し、今後詳細を検討する点があるものの、基本方針を全会一致で可決しました。 引き続いて午後1時30分から、講師に東京西徳洲会病院泌尿器科顧問・小川 由英先生をお招きし、「修復腎移植再開へ-臨床研究をどう進めるか」をテーマに記念講演を開催しました。 講演前に、修復腎移植訴訟の弁護団長・林秀信弁護士、及び山口弁護士から、訴訟、口頭弁論等のこれまでの経緯報告、講演後、小川先生とともに万波誠医師、光畑直喜医師、西光雄医師、万波廉介医師の各先生らが壇上で、修復腎移植再開への期待等についてディスカッション、質疑応答等を行いました。 会場には、大勢の報道関係者の皆さまと支援者約200人が参加、熱心に講演や質疑を聞きました。 NPO法人「移植への理解を求める会」向田 陽二理事長の開会あいさつです。 開会あいさつ 本日は、ご多忙の中、多数の皆様にお集まりいただき、誠にありがとうございます。 「移植への理解を求める会」は、2006年11月に発足してから、2年8ヶ月が過ぎました。この5月下旬には愛媛県からNPO法人の認可を受け、修復腎移植の早期再開を目指し新たな活動をスタートすることとなりました。私たちは、修復腎移植とこれを進めてきた万波誠先生らのグループが日本移植学会とマスコミの強烈なバッシングを受ける中で、その衝撃を何とか跳ね返そうと、求める会を立ち上げ、患者の立場からその妥当性を訴えてきました。 具体的には、10万人を超える署名運動や厚生労働省への陳情、国際腎不全シンポジウムや修復腎移植を考える講演会の開催などを進めてまいりました。 一方、虚偽発言などによって修復腎移植を、「あり得ない医療」、「医学的妥当性がない」などと全面否定し、厚労省による修復腎移植原則禁止の通達へと導いた日本移植学会幹部5人を相手取り、昨年12月に患者原告団が松山地裁に損害賠償を求めて提訴したことから、その訴訟を全面的に支援しています。会の活動をこれまで続けてこられたのは、皆様の熱い思いと粘り強いご協力があったからこそです。ここにあらためて、皆様に厚く御礼申し上げます。 修復腎移植を取り巻く状況は、超党派の国会議員の先生方のご尽力や、徳洲会、瀬戸内グループ、国内外の修復腎移植を支援する先生方の、強力な後押しなどのおかげで、大きく好転してきました。学会の言うままに修復腎移植を否定してきた厚労省も、この1月末、小さな腎がんを含めた修復腎移植の臨床研究にゴーサインを出し、事実上、修復腎移植原則禁止の判断をくつがえしています。これを受けて徳洲会では、今月中にも臨床研究を開始する予定と聞いています。 長い間待ち望んでいた修復腎移植が再開される日が、現実のものとなってきたことで、私たちは大きな期待を寄せています。 今後は、NPO法人として修復腎移植推進活動の全国展開を図ると共に、臨床研究を支援するために、組織内にレシピエント判定委員会と研究基金を設置する方針です。 本日は、講師として小川由英先生、ゲストには万波誠、光畑直喜、西光雄、万波廉介の各先生をお招きしています。さらに有森知恵さんグループによるハープ演奏も楽しんでいただけます。 この記念講演をひとつの節目として、私たちは、移植を待ち望む患者さんが1人でも多く救われるように、さらに修復腎移植が日常医療として再開される日まで、粘り強い活動を続けていくつもりです。皆様の一層のご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。 本日は誠にありがとうございました。 NPO法人「移植への理解を求める会」 理事長 向田 陽二 NPO発足記念講演会の開会にあたり、市立宇和島病院 近藤俊文名誉院長からごあいさつをいただきました。 近藤先生は、市立宇和島病院の元院長であり、万波誠医師が市立宇和島病院で数百例の腎移植医療を手がけられた当初から、病院長として物心両面に渡って支えてこられました。また、現在でも医療全般、移植医療、病院経営等についての専門家としてご活躍されています。 市立宇和島病院 近藤俊文名誉院長 ごあいさつ 皆さんNPOの発足ほんとうにおめでとうございます 先般の国会で臓器移植法が改正されました。国会議員の先生方の長年のご努力に対して我々は敬意を表したいと思います。 しかしながら法律の改正で日本の移植医療が欧米並みになるとお考えの方はこの会場の中でもあまりいらっしゃらないのではないかと思います それは大きな二つの輪がかかっているからです。 一つは移植医療が欧米並みの日常医療になるためには、インフラを整える必要がある。それには莫大なお金がかかります。 もう一つは病院において移植を行う場合、その移植医療が経営と両立するような形というか、収入、はっきり言って保健医療の報酬の傾斜配分が必要です。 この二つがなければ、おそらく日本での移植医療が欧米並みになるのはないのではないかと私は心配しています。 このような条件の中ですので、今こそ、いままで捨ててきた、廃棄してきた腎臓をもったいないと言って使わせていただく修復腎移植が、一つの救いではないかと思います。 現在推計によると年間2千例ぐらいは利用できるのではないかという先生方もいらっしゃいます。 もしそうであれぱ、現在行われている移植の数を上回る数ですので、透析で苦しんでいらっしゃる患者さんのこと思えば、国におかれましても修復腎移植を一日でも早く復活させていただくことを望んでいます。 簡単ではございますが、今後とも皆様頑張っていただきますようお祈りしております。 修復腎移植訴訟(学会幹部訴訟)についての報告 林秀信原告弁護団長 みなさんこんにちは。修復腎移植患者弁護団長の林です。弁護団には6人いるわけですが今日は山口先生もお見えになりました。山口先生は松山市で活躍されている新進気鋭の弁護士です。どうぞよろしくお願いします。 訴訟経過について概略をお知らせします。 1 訴訟経過 訴訟は学会の現在あるいは元幹部5人に対して昨年の12月10日に提起した。そして翌日厚生労働省において議員の有志の先生と患者代表及び弁護団の代表で交渉したが、厚労省から「小径腎癌も臨床試験の対象になると認めます」という回答を引き出すことができた。 これは画期的な成果であり、今回臨床研究は大きく前に進むことになった。 ‘08年5 国会議員考える会声明 6 訴訟検討開始(2本立て) ・臓器移植法GL改正違法(行政訴訟) ・学会幹部に対する損害賠償(民事訴訟) 12・10学会幹部訴訟提起 12・11厚労省交渉(国会議員+患者代表) →厚労省、小径腎癌も臨床試験の対象になると明言。 臨床試験の実現に大きく前進。 ’09年4・21 第1回公判 6・30 第2回公判 10・20 第3回公判(予定) 2 訴訟内容 (1) 目的 ① 学会幹部の責任を明らかにする(=損害賠償) ② 訴訟を通じて修復腎移植(RKT)の医学的妥当性(=違法行為)を明らかにする。 訴訟の一番大きな目的は、学会幹部の違法な行為を明らかにして、損害賠償責任をはっきりさせることにある。 実質的な争点は訴訟を通じて修復腎移植の医学的妥当性を明らかにするということを目的にしている。 (2) 訴状 (虚偽の事実と評価の公表・流布=違法行為) A,移植に使えるような腎臓なら本人に戻すべき B,癌の腎臓の移植は絶対禁忌 C,RKTの成績は悪い (因果関係) ①公表・流布そのものが、世論、患者らに対し、RKTの実現を妨げた。 ②公表・流布がガイドラインによるRKT禁止を導いた (権利侵害=結果) 患者原告のRKTを受ける権利(憲法13,25条)を侵害し、精神的損害を与えた。 訴訟の内容は主に学会幹部の言った三つの嘘を明らかにすることを行っている。 一つは、 A,「移植に使えるような腎臓なら本人に戻すべきである」ともっともらしいことを言っているが、実際には戻せるような腎臓でも捨てている場合がいっぱいあり、これは嘘である。 二つ目は、 B,「癌の腎臓の移植は絶対移植に使ってはいけない」ということを言っているが、これも現実にはそんなことはない。先進的な例でいけば癌の腎臓を移植に使い優秀な結果を収めている。 三つ目は C,「修復腎移植(RKT)の成績は悪い」ということを市立宇和島病院だけのあえて悪い、一部の少ない症例で報告した、という三つの嘘をあばくということを行っている。 私どもの主張に対して被告はどのように回答したかというと、 (3)被告の主張 ①訴えの却下(門前払い)の主張 ・患者に修復腎移植を求める具体的権利はない。 ・修復腎移植の妥当性の問題は、高度な専門的医学的論争であり、訴訟的解決になじまない。 と主張している。 この二つについては、弁護団はいずれも理由がないと主張し、裁判所も無視して訴訟を続けている。 次に被告が言っているのは、 ②万波移植は医学的妥当性を欠いていた。 ・ドナーに対して ―ICの欠如、不足、文書なし。 腎臓を摘出せず、残すべきだった。 術式が患者に不利益。 ・レシピエントに対して-「癌は禁忌」は世界医学の共通認識 RKTの成績が悪い。 ということである。しかし問題は、修復腎移植一般として医学的妥当性があるかということであり、個別具体的な手続きの問題とか各手術が相当であったかということについて、あまり立ち入って検討すべきではないと思っている。 3 争点 今後の訴訟についての方針は、 (1)各論的には2の(2) 違法行為ABCを明らかにしていく。 被告が患者の権利を侵害したということをそれぞれ丁寧に主張、立証していくという方針を貫くつもりである。今の時点ですでに半分ぐらいの争点については法廷で明らかに出来ていると思っている。 (2)全体的には「万波移植」の“問題点”をどう扱うか。 弁護団は、症例そのものは医師の裁量にあったものと考えている。しかし、これを争うと迷路に入るおそれ、裁判の長期化のおそれがある。 それから大きな問題としては、万波先生の移植ということで、どこにこだわっていくかということがある。 弁護団としては、一つ一つの問題をたとえ争っても、負けるということは思っていない。しかし症例が多く、その一つ一つに手続きの問題がどうであったとか医学的に妥当であったかということを検討していくと膨大な時間がかかることになり、複雑化し迷路に入っていき裁判が長期化するおそれがある。 従って私たちは出来るだけ争点を簡明にして、修復腎移植の医学的妥当性を明らかにするということに焦点を絞って証明していこうと考えている。 (3)当面は「証拠開示」をめぐる争い 被告―万波移植について①ICがなされたかの検討 ②RKTの成績評価(データ収集)のために、市立病院、徳洲会病院についての保険監査関係の書類を厚労省に出させる申立て。 原告―①はRKT(一般)の医学的妥当性と関係ない。 ②については、各病院からカルテのみを取り寄せることによって目的を達するので、不要と反論。原告側はカルテのみの取り寄せ申立。 (実質的争点) 被告は万波移植の“問題点”を主要な争点とするための路線づくりと“あら捜し”を目的としている。 これを阻止することが、訴訟の争点の簡明化と早期結着につながる。 今後の皆さま方のご協力をよろしくお願いします。 以上。 修復腎移植再開についての現在の心境 今回の記念講演にゲストとして参加された、万波誠、光畑直喜、西光雄、万波廉介各4名の医師が壇上にあがられ、一言ずつ現在の気持ち・心境を司会者が尋ねました。 各先生方の率直な生の声です。 (司会)野村副理事長 修復腎移植も倫理委員会で承認されて、これからもう間もなく実施という段階を迎えたということですが、みなさん各先生方の今のそれぞれのお気持ちを聴かせてください。愚問かも知れませんが・・・。 万波先生お願いします。 万波誠医師 別に・・・(拍手) 決まったら・・・やるだけです。 野村 先生のご想像の中には(お気持ちは)もう現場の方に行っているようです・・・ 光畑先生いかがでしょうか。 光畑直喜医師 皆さんは相当病腎移植にたいへん興味があると思いますが、我々医者はなにも移植ばっかりやっているわけではないので、外来診療とかがん検診とかいろいろなことをやっている訳です。 1回目の結果的にドナーになっていただく方の、ある意味透明性と本人の意思が大切だと思います。 8月中に倫理委員会を受けられてドナーをお願いする準備を進めて動くつもりですけど、1例目はマスコミにも注目を受けるでしょうし、 きちっとお互いどおし信頼関係に基づいて頑張りたいと思います。 野村 西先生いかがですか。率直に・・・。 西光雄医師 えー、4人とも3年近く前、マスコミの方々に鎖を体中巻きつけられて、海の中放り込まれまして・・・僕と光畑さんは自分で鎖をほどいたわけですが、 この万波兄弟はこの鎖を巻かれているのも分からないくらい堂々として、不思議な人達だなあと・・・。 今でも不思議な人達だなあと思っています・・・。 そうでないと、今までだれも考えなかったことを考えつくっていうことは多分だれもできなかっただろうと思います。 (修復腎移植を)皆さん特別なことのように報道されたし、学会の先生方も思われたのかも知れませんが、普通に、日常的に腎臓のがんの小さいやつは部分切除をやっているんです。移植も日常的にやられていますよね。ただ、たまたまその二つの部屋を隔てていた壁が万波先生によって破られたと・・・。破ろうと考える人もすごいですよね。 そういうことで、この前マスコミの方にいろいろ聞かれたのですが、普通どこの病院でも日常的にやられている二つの医療が、たまたま一人の型破りな先生によって壁がボンと・・・ 職場の隣同士で毎日毎日やっている仕事の壁が破れてドアが一つ出来た・・・そういう非常に簡単なことなのです。 (従って)今さら臨床研究っていうのは僕たちにしたら、泌尿器科の医者で腎臓移植をやっている医者であれば、毎日やっている腎がんで部分切除で・・・、 若い人は小さいやつは場所にもよりますけども部分切除を勧めます。ところが玄関口に出来たやつとか深いところで手術を1時間以内に探して射抜くというのはやはり難しい場合もありますので(全摘出する場合もあるわけです)。それを捨てるのはもったいないなあと万波先生が思われるのは無理がないと思います。 これ臨床研究、臨床研究といいますが、そんなに高度なものかなと・・・泌尿器科で腎臓移植をやっている先生は多分皆思っていると思います。 でもまあ、そうですが、万波先生のやり方は古い先生からは理解できないところがあるようです。それは理解を得なくてはならないなあと思っています。 光畑先生と私のところはドナーを出していたわけですから、出来たら今までどおりやっていきたいと思っています。 ただ4人の先生の平均年齢が64だから急ぐことが必要だと思います。 後5年か10年したらやり方が日本全国、世界的に広まっていると思います。今も広がりつつあるのですけれども5年か10年したら普通の医療としてたぶんやられていると思います。 ただ私の患者さんで1回目の移植した腎臓がだめになられた方もこの会場にも今日何人か来られていますけども、この方々は急ぐわけですよね。 ぜひ皆さんのご協力で、急いでどこでも誰でも受けられるようになればいいなと思っています。 (大きな拍手) 野村 廉介先生いかがでしょう。 万波廉介医師、 修復腎移植を待っているという人は案外私が想像している以上に多いと思っています。 透析患者さんに聴いてみますとほんとに「早くやってほしい」という意見、思う人が非常に多いです。 移植を一回受けて、そしてまた透析に戻っている患者さんは、全国に1万人以上おるんじやないかなと思います。こういう人は1回移植を受けて、もう無いというあきらめを持っている。 こういう人も、修復腎移植が行われていけば、腎臓がんだけで2千ある、その他の疾患もあわせればもっとたくさんあります。 こういう多くの臓器が使えるということが分かれば声をあげてくる可能性があると思います。 一日でも早くできるようになればいいと思っています。 (大きな拍手) 野村 臨床研究、そして修復腎移植を4人の先生方これから頑張っていただきたいと思いますし応援させていただきます。 小川先生から4人の先生方に何か期待するような声とかございませんか。 小川先生 4人の先生方は非常に手術が上手ですので、これから(修復腎移植)手術をされるのを楽しみにしています。 でもやはりみんな外科医ですので口下手ですよね。 自分の思っていることの10分1ぐらいしか言えないので、私もそうですが、十分に皆さんに伝わらないかもしれませんが・・・。 外科医というのは手術ができるか否かということで決まるんですね。口ではないんで、そのように皆さん理解していただきたいと思います。 ここにいらっしゃる4人の先生方の手術を勉強しに来る人がますます増えていただけるのを楽しみにしています。 野村 ありがとうございました。 先生方の腕のいいのは折り紙つきです。患者さんの皆さんもよく知っていますし、みんな信頼を置いています。本当にこれからもよろしくお願いいたします。
by shufukujin-katudo
| 2009-08-05 00:31
| 21.8.2NPO発足記念講演会(1)
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全体 平成29年度年度事業報告書 27.12.5近藤先生の講演会のお知らせ 25.4.14万波医師腎移植1000例達 24.8.20高度先進医療記者会見 23.10.31 修復腎・先進医療申請 23.6.19 第3回総会と記念上映会 23.1.27 演題不採用の回答 23.1.11 演題不採用の通知 22.6.13えひめ移植者の会・総会 22.5.30NPO法人第2回総会 22.3.28移植者と透析患者交流会 22.3.7腎臓移植勉強会で資料配布 22.1.28日本臨床腎移植学会 22.1.4修復腎移植の闘いと未来 21.9.26久野愛媛県医師会会長 21.8.2NPO発足記念講演会(2) 21.8.2NPO発足記念講演会(1) 21.5.4医ゼミ講演(5月4日)決定 21.2.7野村正良幹事講演要旨 21.1.30光畑医師学会発表要旨 12.7松屋長崎医療センター長講演 20.12.7理解を求める会3回総会 関連リンク
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