「えひめ移植者の会・第21回定期総会」 平成22年6月13日(日)、松山市若草町の市総合福祉センターで、「えひめ移植者の会(野村正良会長)約80人」は、第21回総会と記念講演会を開催しました。 記念講演では、市立宇和島病院の近藤俊文名誉院長が、「どうなる日本の移植医療」と題して、日本と諸外国の移植医療の現状と日本の移植医療の課題等について講演をされました。 また、今回の総会には、昨年の12月30日、臨床研究第1例目となる修復腎移植を受けられた患者さん(愛媛県40歳代男性)が出席され、過去の透析をされていたころの生活や修復腎移植を受けられた経過、現在の生活の様子等を詳しくお話し・ご報告していただきました。 壇上に立ったFさんは、修復腎移植を受けたことについて、 「手術を受け半年以上元気になっています。それまでは週3回、仕事の途中透析で抜けていました。幸福なことに(修復腎移植臨床研究の)第1号になりました。とても感謝しています。今は普通に仕事をしていますし、私が健康な姿を見せたら、患者さんの励みにもなると思います。修復腎移植は何も問題はない、ほんとうに素晴らしい医療だと思います」 と語られました。 手術の経過や現在の心境等は次のとおりです。 ―病気の経過を教えていただけますか― 「15年ほど前から腎不全となりました。治療をし続けて、(透析は)ずっと我慢していましたが、2年前にとうとう透析を導入しました」 -透析中はどのような様子でしたか- 「透析中は体が重かったです。でも今は順調です。(週3回)会社を空けるのは、会社員にとってとても辛いものがありました」 -修復腎移植についてどんな印象を持っていましたか- 「私にとって(修復腎移植は)特別なことではありませんでした。親は高齢であり、腎臓をもらえない事情もありましたので、移植は修復腎移植に頼るしかありませんでした」 -移植に対して反対はなかったですか- 「親に相談しましたが、私が決めていたことですし、反対はありませんでした」 -手術はどうでしたか- 「眠っている間に終わりました」 ―万波先生に対してはどのような印象でしょう― 「誰も同じだと思いますが、患者さんにとっては神様ですね」 ―手術についての説明はどうでしたか― 「きちんと丁寧に、何回も説明を受けました」 ―手術の連絡はいつごろあったのですか― 「2週間ほど前に連絡がありました。そして通院の都度説明がありました」 ―移植の希望はいつ頃していたのですか― 「2008年ごろです」 ―現在運動等はしてもいいのですか― 「運動は何をしてもいいと言われています。今はウオーキングなどの軽い運動で体力の回復を行っています」 ―食事制限はありますか― 「特にないですね。普通の食事をしています」 ―通院はどのくらいの頻度で― 「月1回、病院に通院しています」 ―現在、腎臓の調子はいかがでしょう― 「調子いいですね。クレアチニン値は5月末の数値で1.08です」 ―がんの腎臓を修復して移植したことについて、ご心配はありませんか― 「全然していません」 最後に、修復腎移植を受けられて健康を取り戻された現在の率直なお気持ちです。 「透析中は週3回は仕事を抜けなければなりませんでした。私は仕事は全部自分で完成したかったですが、どうしても時間的に制約されて出来ないこともありました。その時は先輩・同僚に引き継ぐわけですが、そのことがとても辛かったですね。今一番うれしいことは、仕事も最後まで自分で完成させることができることです。移植を受けたおかげですね。とても感謝しています」 と、Fさんは、腎移植を受けられてQOL(クオリティー・オブ・ライフ)が向上したことの実感をしみじみと語っていただきました。 腎臓をもらうあてのない透析患者さんの中には、積極的に修復腎移植を受けたいという患者さんが大勢いるのです。そして修復腎移植を受けたFさんは、健康を取り戻され、今では職場で毎日元気に仕事をすることができるようになり、社会復帰をされることが出来ました。 修復腎移植を受けて透析のままでの生存率やQOLを比較した場合、移植を受けてほんとうによかった、と移植の喜びをかみしめられています。 修復腎移植は、腎臓移植医療の第3の道となりうるものです。医療の選択肢は多いほどよいはずです。厚労省は修復腎移植を一刻も早く保険診療の対象としていただき、慢性腎不全患者の命を救っていただきたいと思います。 #
by shufukujin-katudo
| 2010-06-20 15:28
| 22.6.13えひめ移植者の会・総会
NPO法人移植への理解を求める会 第2回総会・記念講演会 平成22年5月30日(日)宇和島市で、NPO法人移植への理解を求める会の第2回総会・記念講演会が、約100人が参加者し開催されました。 記念講演では、明治大学法科大学院の小林公夫講師(法学博士)が、「良性病変をはじめとし、腎がんの移植を含めた病腎の移植利用範囲の正当化は広げられねばならない」、そして「彼が死を受忍するいわれはなく、死に瀕する彼は救われねばならない」等、人工透析患者の生命に危険が迫っており、ほかに移植の手だてがない場合は修復腎移植は正当化されると、熱心に講演されました。 以下、小林先生の講演概要です。 #
by shufukujin-katudo
| 2010-05-31 14:56
| 22.5.30NPO法人第2回総会
「第4回移植者と透析患者の交流会」 平成22年3月28日(日) 平成22年3月28日(日)午後1時から、松山市道後町の愛媛県身体障害者福祉センターで、第4回移植者と透析患者の交流会が開催されました。 今回の交流会には、腎移植者や透析患者さん約50人が参加し、呉共済病院泌尿器科部長 光畑 直喜先生の「修復腎移植の可能性」と題した講演、えひめ移植者の会会長野村 正良氏の、9年前に自ら修復腎移植を受けた体験発表を熱心に聞きました。 講演の中で光畑医師は、日本での腎移植の現状、修復腎移植が行われた背景、学会の見解に対する意見や修復腎移植の有用性について、スライドを用いて検証し、また、医療とは本来、患者さんに対するリスクとベネフィットを比較し、多少のリスクがあっても有効性の方が勝る場合は、命を助けるために行うべきであるが、(修復腎移植を含めて)日本では、ことさらにリスクを取り上げて批判する国民性があり、世界でも稀である。 これでは医師も委縮し、医療が非常にやりにくくなってしまっている等の環境も指摘しました。 その後、癒しのコンサートが催され、早春賦等の春の曲のコーラス、アベェ・マリアのフルートとハーブの演奏、フラダンスや子供たちの合唱等があり、美しい音色・歌声に聴き惚れました。 「修復腎移植の可能性」 呉共済病院 光畑 直喜 泌尿器科部長 「第4回移植者と透析患者の交流会」 平成22年3月28日(日) 3月28日(日)午後1時から、松山市道後町の愛媛県身体障害者福祉センターで、第4回移植者と透析患者の交流会が開催され、呉共済病院泌尿器科部長 光畑 直喜先生が「修復腎移植の可能性」と題した講演をされました。 以下、講演概要です。 ・今年現在、これまで世界で一番だったアメリカを抜き、日本の透析患者数が30万人を超えた。 ・透析にかかる治療費は、1年間に1人あたり約500万円から600万円必要である。 ・全国では、年間約1兆5千億円もの医療費がかかる計算になる。私はがんが専門であるが、すべてのがん患者の年間総費用が約3兆円といわれているが、透析にかかる治療費は実にこの2分1に当たるのである。 ・移植のメリットは、患者さんが透析を離脱して元気になることであるが、それだけでなく、普通に働くこともでき、そして税を納めて国家に奉仕することもできるということだ。若者でも職になかなかつけない時代であるが、透析患者さんが職に就くのはなおのこと難しい現実がある。 ・しかし人口比あたりの移植者数は、北朝鮮を除き、世界で一番低い国は日本である。 ・日本での死体腎移植の平均待ち時間は16年7ヶ月、実際は約17年であり、日本の移植がいかに遅れているか・・・である。 ・日本での透析患者さんの生存率は、5年で61%、約4割の方が亡くなっている。10年では39%であり、約6割の方が死亡している。 ・移植の待機年数の16~17年後に生きている人は、10~20%あるかないかであろうと推測される。 ・ただし日本での透析技術は非常に発達している。アメリカは日本より厳しく、5年生存率は約4割となっている。 ・日本の2001年までの移植者数は、約 12,700人であるが、1回きりの移植者は約96%である。2回以上の移植ができた人は、4%に満たない。 ・要するに2回目以降のドナーは出てこないということである。 ・ここをどう埋めるか・・・・を考えなければならない。 ・生体腎移植では、夫婦間が36%を占めており増えている。兄弟間ではきれい事ではすまず、非常にむずかしい問題があるため減少しており、あまり望めないのが現実である。 ・臓器不足の中で、どうやって移植を増やしていくか・・・。 ・日本での、血液型不適合やクロスマッチ陽性(抗体不適合)でも移植を行う取り組みがそれである。 ・血液型不適合、クロスマッチ陽性(抗体不適合)の移植は、アメリカでもヨーロッパでも、お隣の韓国でもほとんど実施していない。 ・それは、欧米、東南アジア等では、脳死移植や献賢移植がさかんに行われている。また韓国等ではドナー交換腎移植も十数年前から国を挙げて取り組んでいることもあり、血液型不適合等の移植を日本のように無理をしてやる必要がないからである。、 ・ドナー交換腎移植とは、スワッピングをすることである。不適合で移植が出来ない5~6組の家族同士を組み合わせて、適合者どうしでの移植を行う。 ・日本でドナー交換腎移植をすればどうなるか・・・。また大騒ぎをするであろう。国民の移植に対する理解・意識は諸外国に比べて低い。 ・ドナー不足の日本では、血液型不適合やクロスマッチ陽性(抗体不適合)の移植を、強行突破で無理してやらざる得ないのである。 ・42例の修復腎移植の内訳である。 ・2回目以降の移植者が約7割弱を占めている。 ・ドナーとなった方の年齢構成は、27人が60歳以上であり、全体の71%を占めている。 ・修復腎移植は(成績が悪いと)批判されたが、修復腎移植の成績が悪いのではなく、ドナーが高齢のため、若い方が多い生体間移植に比べてどうしても成績が劣るのであり、同様、死体腎移植も高齢者からの移植は成績が劣るのである。 ・ドナーの年齢を考慮すれば、修復腎移植の成績は決して悪いものではない。 ・呉共済病院での1991年からの修復腎移植の実績 ・修復腎移植を受けたドナーの方は、現在最長で約19年、7年以上が3名、元気に生存している。 ・日本での4センチ以下の小径腎がんの部分切除率 。 ・平均で8割以上は全摘出されている実態である 。 ・最近は部分切除が増えてきてはいるが、腎がんの場合の全摘出は世界的にも標準的な医療である。 ・広島県での腎がんの治療を基に推計した場合、日本全体では、年間約2,000件の修復腎移植を実施できる可能性がある。 ・早期腎がんの部分切除後のがんの再発率は約2~4%である。 ・しかし過去の修復腎移植では、がんの再発はない。 ・透析患者さんに修復腎移植を実施し癌が再発するリスクと、修復腎移植を実施して命が助かるベネフィットを比較した場合、修復腎移植はとても有効である。 ・ 医療とは本来、患者さんに対するリスクとベネフィットを比較し、多少のリスクがあっても有効性の方が勝る場合は、命を助けるために行うべきであるが、(修復腎移植を含めて)日本では、ことさらにリスクを取り上げて批判する国民性があり、世界でも稀である。 ・要は患者にとって、今何が大切か、リスクとベネフィットを考えることが必要である。 #
by shufukujin-katudo
| 2010-03-30 14:39
| 22.3.28移植者と透析患者交流会
宮城県議会 「修復腎移植推進を求める意見書」採択 平成22年3月17日(水) 3月17日宮城県議会において、「修復腎移植の推進を求める意見書」が満場一致で採択されました。 宮城県議会に対して心から感謝申し上げます。 宮城県議会・意見書提出議案 別紙・意見書 修復腎移植の推進を求める意見書 我が国で慢性透析療法を受けている患者は、平成21年末現在で約30万人となっており、毎年1万人前後増え続けている。 一旦、慢性透析に陥ると、週3回、4~5時間に及ぶ透析治療を生涯受け続けなければならず、精神的にも肉体的にも相当な負担がかかり、日常生活に大きな支障を来すこととなる。 透析治療を受ける患者の多くは、根本的な治療法である腎移植を望んでおり、現在、社団法人日本臓器移植ネットワークに腎臓移植を希望する登録者は1万2,000人に上っている。 しかし、我が国における腎移植は平成18年に1,136例と初めて1,000例を超えたものの、欧米諸国に比べ極端に少なく、人口百万人当たりの移植数は欧米諸国の10数%~20数%程度である。とりわけ、献腎・脳死体腎の移植数は200例に満たず、人口百万人当たりの移植数は欧米諸国の2~5%程度に過ぎない。 このような事情を背景に、臓器提供者に恵まれない移植待機患者を一人でも多く救おうと、治療のため摘出した腎臓を修復して移植する、いわゆる修復腎移植が始まった。 ところが、平成19年7月、厚生労働省においては、臓器移植法の運用指針を一部改正し、修復腎移植については、臨床研究の道は残すものの、原則禁止としたところである。 移植腎の大幅な不足という状況の中で、修復腎移植の道を開くことは、重度の腎臓病に苦しみ、生命の危機に脅かされている、透析治療が困難な患者の方々にとって、健康回復への希望となるものである。 よって、国においては、移植待機患者が1日も早く移植を受けることができるよう、修復腎移植が可能となる環境整備を早急に行うよう強く要望する。 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成22年3月11日 宮城県議会議長 畠山 和純 衆議員議長 参議員議長 内閣総理大臣 内閣法第9条の1第1順位指定大臣(副総理) あて 厚生労働大臣 「移植への理解を求める県議の会」発足経過等 1、今野隆吉宮城県県議が発起人となり、3月4日に修復腎移植の説明会を開く。 2、同日午後6時から仙台ロイヤルパークホテルにて「修復腎移植の闘いと未来」と題する県民向け講演会(仙台徳洲会病院主催)を開催。約200人参加。NPO法人「求める会」理事の林秀信氏が講演を行った。 3、3月17日宮城県議会において、本件「修復腎移植に対する意見書」が満場一致で採択された。 4、同「県議の会」は今後、東北地方の県議らを対象として、他県の県議にも議会での決議を呼びかけていく方針である。 (補足) 今野先生は、二十数年間宮城県議を勤め、主に厚生医療畑で活躍してきた。また、仙台徳洲会病院の設立誘致活動にも尽力した。 昨年10月から透析を導入して、移植について考えるようになり、たまたま入手した「修復腎移植の闘いと未来」(当会理事林秀信著)を読んで感銘を受け、多くの透析患者のために同移植を進めることを決意した。そして、他の県議会議員に呼びかけ、議会での推進決議をあげるに至った。 #
by shufukujin-katudo
| 2010-03-20 05:25
修復腎移植・啓発資料を配布 社団法人香川県腎臓病協議会『第15回腎臓移植に関する勉強会』 平成22年3月7日(日) 第15回・腎臓移植に関する勉強会 「NPO法人 移植への理解を求める会事務局」が、平成22年3月7日(日)、『第15回腎臓移植に関する勉強会』(社団法人香川県腎臓病協議会・主催)において、修復腎移植に関する啓発チラシの配布を行いましたので報告します。 (以下報告) 本日(平成22年3月7日(日))、社団法人香川県腎臓病協議会『第15回腎臓移植に関する勉強会』において啓発資料を配布しました。 今回の啓発資料は、「修復腎移植に関するQ&A」、NPO法人移植への理解を求める会紹介記事、DVD(TBS総力報道THE NEWS・1/8放映 NHK四国羅針盤・1/22放映 収録)、修復腎臨床研究紹介記事等を透明な資料配布用の袋にまとめて、勉強会参加者39名に説明し手渡しました。 参加者は一般の方から透析者、移植者とさまざまでしたが熱心に耳を傾け、1名を除き資料を受け取ってくれました。 勉強会は以下の内容で行われました。 『臓器移植法改正と香川の現状について』 講師:(財)香川いのちのリレー財団 臓器移植コーディネーター 藤本 純子 氏 『腎移植後の管理について』 講師:香川大学医学部附属病院 泌尿器・副腎・腎移植外科 乾 政志 先生 患者体験発表 (社)香川県腎協のご厚意で私も体験発表をさせていただきました。 その後の質疑応答ではドナーの拡大についてテーマが主となり、親族の優先提供の範囲の拡大、腎ガンの治療法の現状についての説明等がありました。 皆さんの好意的な声で、修復腎移植に対する風向きが変わりつつあることを感じました。 以上簡単ですが報告させていただきます。 NPO法人 移植への理解を求める会事務局 理事 河野和博 修復腎移植について説明する、NPO法人移植への理解を求める会 河野事務局長 #
by shufukujin-katudo
| 2010-03-13 11:51
| 22.3.7腎臓移植勉強会で資料配布
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全体 平成29年度年度事業報告書 27.12.5近藤先生の講演会のお知らせ 25.4.14万波医師腎移植1000例達 24.8.20高度先進医療記者会見 23.10.31 修復腎・先進医療申請 23.6.19 第3回総会と記念上映会 23.1.27 演題不採用の回答 23.1.11 演題不採用の通知 22.6.13えひめ移植者の会・総会 22.5.30NPO法人第2回総会 22.3.28移植者と透析患者交流会 22.3.7腎臓移植勉強会で資料配布 22.1.28日本臨床腎移植学会 22.1.4修復腎移植の闘いと未来 21.9.26久野愛媛県医師会会長 21.8.2NPO発足記念講演会(2) 21.8.2NPO発足記念講演会(1) 21.5.4医ゼミ講演(5月4日)決定 21.2.7野村正良幹事講演要旨 21.1.30光畑医師学会発表要旨 12.7松屋長崎医療センター長講演 20.12.7理解を求める会3回総会 関連リンク
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