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万波誠医師と林弁護士 5月の「全国医学生ゼミナール」で講演


 「WELCOME 医ゼミ 2009」
(全国医学生ゼミナール新入生歓迎企画)で
万波誠医師・林秀信弁護士 講演


 5月4日(月)午後 2時30分から

 「大阪府高槻市生涯学習センター」



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  万波誠医師を訪ねられた近畿大学医学部2回生、愛媛大学医学部5回生のお二人


 <お知らせ>

「全国医学生ゼミナール」HP

全国医療系学生の自主ゼミ活動の一つである「全国医学生ゼミナール」(略称「医ゼミ」)での今年の「新入生歓迎企画」(毎年5月開催)の「WELCOME 医ゼミ 2009」講演会に、泌尿器科、移植医療でご活躍されている万波誠医師と「移植への理解を求める会」幹部が招待され、講演する予定となりましたのでお知らせいたします。

講演は、来月5月4日(月)~5日(火)、「大阪府高槻市生涯学習センター」で開催される医ゼミの「新入生歓迎企画」の中で、5月4日(月)午後2時30分から、「移植への理解を求める会」幹事・林秀信弁護士(修復腎移植訴訟原告弁護団長)と宇和島徳洲会病院・万波誠医師が講演を行うものです。

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患者の立場から講演を行う林秀信弁護士


「医ゼミ」とは、全国26大学医学部学生自治会・学生会の加盟により構成される「全日本医学生自治会連合」(略称・医学連)の活動の一環で、毎年8月に開催される「本番医ゼミ」では、全国の医学生、医療系大学・短大・専門学校などで学ぶ将来医療に携わる様々な分野の参加者が一同に会し、「患者さん中心の医療とは何か・・・」を大きなテーマとして、学生レポート発表、講演会、分科会や交流会等を開催、例年500人前後の参加者が集うもので、学生主催の医系学術企画では日本最大規模といわれています。

※「医ゼミ」の理念
患者さん中心の医療を考え、よりよい医療従事者像を追求する中で仲間と学び成長し明日の医療を切り開いていく。

今月4月5日(日)、医ゼミ実行委員会メンバーの代表医学生さん(近畿大学医学部2回生と愛媛大学医学部5回生)のお二人が、宇和島市の万波誠医師と理解を求める会代表を訪ね、講演開催の趣旨や予定等を説明・打ち合わせを行い講演が決定しました。

万波誠医師への講演依頼について、医学生のお二人は、

「万波先生はどんな障害が前に立ちはだかっても、自分の意志を貫きとおしているという医師のイメージがすごく強い・・・そのモチベーションがどこから来ているのか、生の声をぜひ聴かせていただきたい」と熱く要請。

「昨年雑誌「いのちとは何か-別冊宝島-」で先生の病腎移植のインタビュー記事を読んだが、命の大切さに向き合う先生のお姿にたいへん感銘を受けた」

「一連の病腎移植の先生の立場からの話、移植を始めたきっかけ、そして、先生はどういうふうに移植医療に取り組まれているのか等講演により勉強したい」
等語られました。

それに対して万波誠医師は、

「命とは・・・などと毎日そんなに大それたことは考えてはおらんがな・・・」と謙遜し照れ笑いされましたが、「患者さんにはな、人それぞれに事情がある。私は患者さんと話し合いながらその人に最善の医療を実施することが必要だと思ってやっている・・・病腎移植もその一つと思う」と私の体験が医学生に少しでもためになればよいがと講演を了解。

近畿大学医学生は、「私が医学生になった時、万波先生の病腎移植問題に関する学術論文を多く見ました。先生に対する学生の人気度は高いです」と講演決定を喜んでいました。

また医学生側は、「移植への理解を求める会」代表に、「患者として万波医師や修復腎移植推進の今までの支援活動について、教えていただきたい 」

「専門的内容よりも患者としての思いを伝えていただきたいと思います」と要請。

会代表は「修復腎移植問題の経緯や患者側の思いを少しでも理解していただければありがたいです」と講演を了解しました。

今年の医ゼミが、万波誠医師の仕事に対する熱意・姿勢や修復腎移植への理解が少しでも広がるなど、有意義な大会となることを心から願っています。

なお、医ゼミでの講演会は一般参加もできるとのこと。

5月の連休の最中ではありますが、この機会に、皆さん、ぜひ万波誠医師や林秀信弁護士のお話を聴いてみませんか。

多くのご参加をお待ちしております。

なお、詳しい日時、場所は、下記ポスター等をご覧ください。



~WELCOME 医ゼミ 2009 ~ 


近畿の新歓企画『ウェルカム医ゼミ』

日時  : 5月4日(月)~5月5日(火)
集合場所:高槻市生涯学習センター研修室 

講演 『修復腎移植問題』の万波誠医師 
 5月4日(月)14:30~

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今回のメイン講演は2006年の10月に『修復腎移植(世間で言う病気腎移植)で注 目を集めた宇和島徳洲会病院の万波誠 医師にお願いしています。
今回の講演では、修復腎移植問題の本質だけでなく、万波医師の医療観や患者さんへの想い、また逆風にあっても自分の医療を貫いたモチベーション等などを聴くことが出来ます。さらに修復腎移植の再開を求めて学会を相手取り、訴訟を起こしている患者会の方の講演も同日に企画しています。

<タイムテーブル>
   5月4日 (月)                     
13:30  開場
14:00  開会式
14:30  患者さん講演
15:20  万波医師講演
17:00  質疑応答
17:30  閉場

5月5日 (火)                     
9:00  分科会①
10:00  分科会②
11:30  閉会式

<参加費>
新入生            200円
二年生以上          500円

一般参加(講演のみ)    1500円

  交流会費            500円
  宿泊費            4000円

※  一年生は参加費と宿泊費で合わせて二千円とします

会場
一日目:高槻市民生涯教育センター 研修室
二日目:薗満寺

注)会場のキャパもありますので、講演のみの参加の方も、できるだけご連絡下さい。
締め切り:5月1日

参加希望・質問は下記アドレス
近畿大学医学部四年
井上裕次郎まで
g17089@edu.med.kindai.ac.jp





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万波誠医師と向かって左端と左から4番目の医学生さん 「移植への理解を求める会」幹事等
# by shufukujin-katudo | 2009-04-26 14:45 | 21.5.4医ゼミ講演(5月4日)決定

「まつやまを考える会」にて講演 野村正良幹事

「患者からみた修復腎移植」

「移植への理解を求める会」野村幹事

「まつやまを考える会」にて講演



平成21年2月7日(土)、愛媛県松山市の松山ワシントンホテルで、「まつやまを考える会」(代表渡部浩三氏)第3回の会合が開催され、その中で「移植への理解を求める会」野村正良代表幹事が、『患者からみた修復腎移植』と題して講演し、修復腎移植への理解を求めました。

今回、修復腎移植についての講演会を企画した「まつやまを考える会」は、松山の歴史、文化、伝統、教育、政治、経済、医療、福祉などについて考察し、こころ豊かに暮らせる質の高い市民社会の形成と発展に期することを目的として、2ヶ月に1回の定例会や特別例会等を開催している各界著名人や有識者の集まりです。

会は、財団法人重要文化財渡部家住宅保護財団・理事長の渡部浩三さんや作家の青山淳平さんなどが運営、会のメンバーには大学教授、企業経営者、報道関係者、医師など約30名が現在会員となり活動されており、今後も幅広くいろいろな話題で定例会等を予定しているということです。

今回修復腎移植についての講演を聴いたメンバーのお一人は、「新聞報道等で騒がれていましたが詳しい中身は正直あまり知りませんでした。今回の講演で経緯がよく分かり、何より慢性腎不全患者さんの移植への思いや、万波先生の功績がよく理解でき大変ためになりました」と話していました。

修復腎移植についての理解が各方面で着実に広がっています。

「まつやまを考える会」様、講演開催大変ありがとうございました。

なお講演要旨は次のとおりです。






まつやまを考える会(第3回)卓話要旨

2009年2月7日(土)
会場 松山ワシントンホテル


患者からみた修復腎(病腎)移植

講師 野村正良(移植への理解を求める会 幹事)



私は透析生活をへて、献腎の移植を2度経験し、3度目にネフローゼの末期症状の患者が摘出を切望した病気の腎蔵の移植を受けた。この腎臓は尿や蛋白がぼろぼろ出ていて、生着するかどうか、半信半疑だった。万波誠先生のダメでもともとという偽りのない言葉に賭けた。それから9年経つ。まったく健康(免疫抑制剤を服用しているほかは)である。従って、私は修復腎(病腎)移植の生き証人でもある。

日本は深刻なドナー不足のため、大半が親族間の生体腎移植である。透析と移植では生活の質(QOL)は格段にことなり、さらに移植では透析よりも2倍の延命実績がある。献腎が絶対的に不足しているなか、いわゆる瀬戸内グループの先生方(万波兄弟、光畑、西)が泌尿器科で捨てられていた腎臓に目をつけ、海外で成功している事例を研究し、10年間余りで42例の修復腎移植を行っていた。おりしも「臓器売買事件」がおき、この調査の過程で、修復腎移植が明るみになり、大きな社会問題となった。

学会が修復腎移植を否定する理由はさまざまである。「がんは禁忌中の禁忌」「同意書がない」「生着率が劣る」「レシピエントの選択が恣意的」「倫理委員会の承認がない」などこれらすべてはいいがかりで、学会幹部の遅れた医療知識、嫉妬や面子、地方や臨床の軽視、さらに無知と偏見に基づいており、厚労省は学会の言い分を鵜呑みにした。

今日、修復腎移植の妥当性が明らかになってきている。この移植医療は決して特殊医療ではなく、これまで保険診療で実施されてきた経緯がある。また全国の他の病院でも70例以上行われている。万波医師の論文は「ドナー不足の切り札」として高く評価され全米移植外科学会で表彰された。またオーストラリアではすでに日常的な医療となっている。修復腎移植は、「疾患の再発はゼロ」「遜色のない生着率」「家族間の葛藤がない」「失敗しても気持ちが楽」「年間2千個前後の腎蔵が確保できる」など多くのメリットがある。

修復腎移植推進の輪は確実に広がっている。

広島県医師会はすでに「検討すべき」との見解を発表している。さらに修復腎移植を考える国会議員の超党派の会は、厚労省に「容認」するように迫った。厚労省は1月27日、「いわゆる病腎移植の臨床研究に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していないこと」を各都道府県に通知した。移植への理解を求める会はNPO法人となり、患者原告訴訟(学会幹部5人への損害賠償請求訴訟)を支援してゆく。究極の目的は修復腎移植の啓発にあることはいうまでもない。

✤詳細かつ最新の情報は「移植への理解を求める会」で(グーグル)検索して下さい。             (文責 青山淳平)



 「まつやまを考える会」HP
# by shufukujin-katudo | 2009-02-28 22:42 | 21.2.7野村正良幹事講演要旨

第42回日本臨床腎移植学会 光畑直喜医師発表要旨



「当院におけるレストア(修復)腎移植の長期follow up報告」

広島県呉共済病院・光畑直喜泌尿器科部長

平成21年1月30日(金)「第42回日本臨床腎移植学会」


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平成21年1月28日(水)~30日(金)に千葉県浦安市で開催された「第42回日本臨床腎移植学会(会長:相川厚・東邦大学医学部腎臓学教室)」の最終日、呉共済病院の光畑直喜泌尿器科部長が、「当院におけるレストア(修復)腎移植の長期follow up報告」と題して呉共済病院で行われた6例の修復腎移植症例と自院及び市立宇和島病院の25症例を取りまとめて分析した修復腎移植の生存率、生着率のデータ等を公表した。











【プログラム・抄録集】
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【抄録 「当院におけるレストア(修復)腎移植の長期follow up報告」】
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平成18年11月から広く議論を呼んでいる「修復腎移植問題」。
厚労省や関係学会から派遣された調査・専門員会では、市立宇和島病院、徳洲会宇和島病院、呉共済病院、香川労災病院等で実施されてきた修復腎移植42例について、その妥当性が議論された。

国内で行われた修復腎移植については、これまで国際的な学術誌『アメリカンジャーナル・オブ・トランスプランテーション(AJT)』(修復腎移植42症例をまとめた論文が移植関係で最も権威のあるジャーナル誌(Volume 8 Issue 4)平成20年4月頃掲載)や『トランスプランテーション』(呉共済病院で行われた4件の病腎移植手術に関し、同院の光畑直喜医師がまとめた論文・ 同誌の電子版は平成19年6月13日付、雑誌は19年6月15日付)に論文が掲載された。また、
米国移植外科学会(ASTS)や国際移植学会議でも発表が行われ、米国移植外科学会ではトップ10に選ばれるなど、海外で高く評価されている。

しかし日本移植学会等関係4団体(後に5団体)は、平成19年3月31日に、病腎移植の医学的妥当性については、「現時点では妥当性がない」とする統一見解を出し、その後も国内では日本移植学会や関係学会が否定的な立場を取っている。

修復腎移植が医学的に妥当性がないとされた大きな理由の一つに、日本移植学会の高原史郎副理事長が市立宇和島病院における25件のデータを分析し、その結果、修復腎移植は患者への生着、生存率がきわめて低いと発表したことなどがある。

(参考1)19.3.31新聞記事抜粋
宇和島徳洲会病院の万波誠医師(66)が前任の市立宇和島病院で行った病気腎移植二十五件について、日本移植学会は三十日、移植された腎臓が機能していることを示す生着率と移植患者の生存率を公表。病気腎移植の生着率は、同病院が単純計算した数値を一般的な解析手法で処理した結果、五年後35・4%、十年後25・3%となり、生体腎の移植成績の半分以下となった。
 東京の厚生労働省で記者会見した同学会幹事の高原史郎大阪大大学院教授(54)は「特にがん関係病気腎の生着率・生存率は低く、移植患者にがんが持ち込まれた可能性は否定できない」との見解を示した。
(以上 新聞記事抜粋)

当時、学会に対して、もう少し修復腎移植に対して検討を尽くすべきではないのか・・・との意見が専門家の間からも出たものの、呉共済病院で行われた6症例については長期的なデータのフォローアップが可能できわめて成績がよいのにもかかわらず、呉共済病院の症例が外され、市立宇和島病院の25症例のみの生存率・生着率を元などに統一見解を発表した。

そのような経緯の中、光畑医師は、今回の臨床腎移植学会において、市立宇和島病院の25症例に呉共済病院の6例を加えた生着率、生存率等を発表、そしてドナーが高齢であることを考慮した結果、修復腎移植は生体腎移植に匹敵する好成績となるデータをあらためて示している。

修復腎移植問題が持ち上がって以降、国内の学術会議での発表は初めてのことである。

以下に光畑医師発表の概要についてご紹介する。



【1】1991年(平成3年)以降実施された修復腎移植6例
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・呉共済病院では、1991年11月(平成3年)左腎門動脈瘤(4.5㎝)の75歳の腎摘出後、修復して44歳の非血縁者間生体腎移植を公表実施して以来、2001年(平成13年)までに6例の修復腎移植を実施した。
・実施された修復腎移植6例のドナー(臓器提供者)の原疾患は、
・腎動脈瘤2例(上記症例1及び2)
・下部尿管腫瘍3例(症例3~5)
・腎腫瘍1例(症例6)
である。(赤字の上記症例3~6はがん症例を示している)

・ドナーは(当時)62歳から75歳

・レシピエント(移植を受けた人)6名のうち1名が5年後の61歳で亡くなられた(症例2)ものの、残る5名は2008年12月現在も生着、生存中で、その期間は最長18年2ヶ月(症例1)、最短でも7年4ヶ月(症例6)と長期間の成績が非常に良好であり、がんを再発することもなく元気で暮らしている。

・「がん症例(症例3~6)において善意で腎臓を提供されたドナーの方は62~74歳と比較的高齢で、腎腫瘍の方が1人と下部尿管腫瘍の方が3人。
いずれも摘出に当たった病院では、充分な書面または口頭による治療選択肢を提示し、主治医とご本人、ご家族の話し合いの上、腎摘出に同意された。4例の移植はいずれも呉共済病院で実施され、42~56歳の方に再移植された。

・移植に際しては、がんの再発のリスク、あるいはがんの再発後、その病巣を含めて移植腎を摘出しても遠隔転移で死亡するリスクがあるということを十分説明し、度重なる話し合いを行った上で最終的にレシピエントご本人とそのご家族が、移植実施を選択した。

・がん症例(症例3~6)においては、今回の移植が3回目となる患者さんが1人、2回目が3人である。

・ドナーについては、2007年3月時点、84歳で亡くなられた(症例1)以外は、原病再発なく5名の方は現在も元気で生存中である。レシピエントの方のみならず、家族の方も見知らぬドナーに非常に感謝している。



【2】1991年、第一例となる修復腎移植を報道した全国紙
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・1991年3月23日(土)付全国紙は、呉共済病院で1991年1月25日に修復腎移植が実施され、同年3月22日に無事患者さんが退院されたことを大きく報じた。

・新聞によると、
 「広島県呉市の呉共済病気で、慢性腎不全の男性公務員(44歳)に、腎動脈リュウを切除した75歳の患者から腎臓を移植する手術が行われ、患者は22日、術後約2ヶ月ぶりに退院した。高齢で非血縁者のドナーによる手術成功は珍しい」と報道。
 「腎臓を提供したAさん(75歳)は、左の腎臓と大動脈をつなぐ腎動脈に3センチ大の動脈リュウが見つかった。普通は腎臓ごと摘出して切除するが、高齢のため腎臓を再び体内に戻すと合併症の危険があり、Aさんの同意を得て血液型の一致する公務員への移植に踏み切った」といい、
「手術は3時間半がかりで行われ、術後の経過も良好。「移植をあきらめかけていた矢先だったのでうれしい。感謝の気持ちでいっぱい」と、4月からの職場復帰を楽しみにしている」という。
「主治医の光畑直喜・泌尿器科医長は、「切除した腎臓を活用できた珍しいケース。血液型の適合、正常な腎機能など幸運な面もあった」と話している。



【3】諸外国の「腎がんの修復腎移植」の実施状況 58例
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・1975年 イギリス           1例
・1975年 米国 ニューヨーク     1例
・1980年 フランス           1例
・1991年 ポーランド          1例
・2005年 米国 シンシナティ大学  14例
・2007年 米国 カリフォルニア大学  1例
・2008年 日本 宇和島 万波誠    8例
・2008年 豪州 ブレスベーン     31例



【4】2007年 米国 カリフォルニア大学 サンフランシスコ校での取組み
(上記図【3】の下から3番目)
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・米国 カリフォルニア大学 サンフランシスコ校では、2007年、22歳のドナーから提供された腎がんの腎臓を修復し、移植2年待ちの66歳の患者に移植された。



【5】豪州 ブレスベーン プリンセス・アレクサンドラ病院
デビット・ニコル教授らチームの取り組み

(上記図【3】の一番下)
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・オーストラリア ブレスベーン プリンセス・アレクサンドラ病院のデビット・ニコル教授らのチームは、1996年から修復腎移植を実施。
・現在でも小径がんの修復腎移植が毎月約2例のペースで行われており、すでに60近い症例数でがんの転移・再発がないことを報告している。



【6】米国・メリーランド大学の研究グループが5例の修復腎移植を実施
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・2008年の米国泌尿器科学会議でメリーランド大学の研究グループが5例の修復腎移植(腎細胞がん3例、血管筋脂肪腫2例)を発表。
同研究グループの修復腎移植は、経過観察期間が11~83ヶ月(中央値35カ月)で、5例中4例が生存、残りの1例は無関係の原因による死亡のため、生存率は100%であるという。
・この発表を受けて、米国の泌尿器腫瘍学誌(下記参考「Urologic Oncology 誌」)では、「泌尿器腫瘍専門医が移植医と連携しながら、修復腎によって腎臓のドナー(提供者)拡大をするべきである」との記事を掲載した。

(参考)
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「Urologic Oncology 誌」
泌尿器腫瘍:セミナーおよびオリジナル調査は、泌尿器腫瘍学会の公式ジャーナルです。 この新しいジャーナル泌尿器腫瘍学のセミナーからの包括1つのトピックの概要と泌尿器腫瘍学から元の研究を組み合わせたものです。
すべての記事を重要な関心のあるすべての臨床医泌尿器科、泌尿器科腫瘍医と放射線腫瘍学などの実践に関与している。


<フロリダ大学移植外科医・藤田士朗准教授からの報告>
最近、Urologic Oncology という雑誌に、この修復腎臓移植に関する話題が載っていました。ミシガン大学のコーン先生によるもので題は Can urologic oncologists help expand the renal donor pool with "resotred" kidneys? Urologic Oncology : Seminors and Original Investigations 26 (2008): 573-574

「アメリカでも51000件の新たな腎臓癌症例が毎年あり、そのおよそ56%がStage 1。そして、13000症例ではT1a (<4 cm)と考えられる。さらに、2001年の時点においても、80%の症例で腎臓全摘出が行われている。
もちろん最近はその割合は減っているであろうが、おそらく今でも8000から10000のT1a腎臓癌が腎臓全摘出されていると考えられる。
とても控えめに考えて、そのうち5%が移植可能と考えても400-500の臓器が移植に使えるのではないか。そのため、悪性腫瘍を取り扱う泌尿器科医師はもっと積極的に移植外科医と相談し、これらの腎臓の利用を考えるべきではないか」

といった結論となっている。



【7】修復腎移植を受けた患者の「生存率」(市立宇和島病院25例、呉共済病院6例 合計31例)」
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<フロリダ大学・藤田士朗准教授の分析結果による(以下同じ)>
・宇和島市立病院及び呉共済病院の修復腎移植31例「生存率」
 5年後 →76.9%
 10年後→60.9%

(参考)19年3月31日(土)付新聞報道
・日本移植学会が19年3月30日発表した市立宇和島病院の25症例「生存率」
5年後→71・7%





【8】修復腎移植の「生着率」(市立宇和島病院25例、呉共済病院6例 合計31例)
第42回日本臨床腎移植学会 光畑直喜医師発表要旨_e0163726_13161850.jpg


・宇和島市立病院及び呉共済病院の修復腎移植31例「生着率」
 5年後 →47.2%
 10年後→37.2%

(参考)19年3月31日(土)付新聞報道
・日本移植学会が19年3月30日発表した市立宇和島病院の25症例「生着率」
5年後 →35・4%
10年後→25・3%





【9】修復腎移植31例中、「腎臓がん、尿管がん」等のがん症例の修復腎移植は14例
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・修復腎移植31例中、「がん症例」の修復腎移植は14例あり、内訳は、
市立宇和島病院10例、呉共済病院4例。
  図【10】及び図【11】は、その生存率と生着率をグラフ化したもの。




【10】「がん症例」の修復腎移植14例の「生存率」
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・宇和島市立病院及び呉共済病院のがん症例14例の「生存率」
 5年後 →77.9%
 10年後→51.9%

(参考)19年3月31日(土)付新聞報道
・日本移植学会が19年3月30日発表した
市立宇和島病院のがん関係の病気腎「生存率」
5年後 →46.7%
10年後→23.3%




【11】「がん症例」の修復腎移植14例の「生着率」
第42回日本臨床腎移植学会 光畑直喜医師発表要旨_e0163726_1317397.jpg

・宇和島市立病院及び呉共済病院のがん症例14例の「生着率」
 5年後 →49.0%
 10年後→49.0%

(参考)19年3月31日(土)付新聞報道
・日本移植学会が19年3月30日発表した市立宇和島病院の
がん関係の病気腎11例「生着率」
5年後→21・8%


・上記で示したとおり、学会が発表した「生存率」「生着率」は、市立宇和島病院の修復腎移植25例に基づいたものであり、長期成績のよい呉共済病院の6例を加えると、いずれの数値も学会発表の数値より高く、成績が良くなるのである。

・学会が非難した「修復腎移植の成績結果は悪い」ということについて、呉共済病院の良好な成績を除外しているため、正確な統計的根拠に基づいているのかどうか、大いに疑問があると言わざる得ない。




【12】ドナー年齢の比較
第42回日本臨床腎移植学会 光畑直喜医師発表要旨_e0163726_13181282.jpg

・修復腎移植42例のドナー年齢は、60歳以上が、全体の約4分の3を占めている。(濃い青と赤)

・それに対して、死体腎移植及び生体腎移植では、59歳までのドナーがグラフ全体の約4分3前後を占めていることは一目瞭然である。

・高年齢になるほど、ドナーとなる臓器がそれだけ機能的に落ちてくる(あるいは傷んでくる)のは、医学的な一般的常識である。ドナー年齢を考慮した生着率を考える必要がある。





【13】ドナー年齢を考慮した生着率の比較
第42回日本臨床腎移植学会 光畑直喜医師発表要旨_e0163726_13183250.jpg

・実線→生体腎移植   点線→死体腎移植   濃い実線→修復腎移植

・グラフ【12】で明らかなように、修復腎移植のドナー提供者は、60歳以上の高齢者が多くを占めており、ドナーが高齢であることを考慮した結果、修復腎移植の生着率は、死体腎移植を上回り、生体腎移植に匹敵する好成績となっている。

・また、生体腎移植を受けた患者の平均年齢は38歳、死体腎は46歳で、修復腎は50歳である。
生体・死体腎移植を受けた患者はほとんどが初回の移植だが、修復腎移植を受けた患者は2~4回目が42例中28例(66.7%)となっている。移植の回数を重ねるごとに移植が困難となることも考慮する必要がある。

こうしたことを考えた場合、修復腎移植は腎移植医療の第三の道に充分なり得ると言えるであろう。





【14】リスク(危険性)とベネフィット(便益)により検討を
第42回日本臨床腎移植学会 光畑直喜医師発表要旨_e0163726_1319367.jpg

・早期腎癌の部分切除後の再発率は、約2~4%と言われている。

・日本の透析患者の5年生存率は61%、10年生存率は39%である(アメリカは糖尿病性疾患が多いため生存率は日本より悪い)が、腎移植者の10年生存率は約80%となっており、移植後は日常生活の質も大きく改善され、健康な人とほとんど差のない生活ができる。このことから人工透析に比べ腎移植の方が、QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)、生存率ともに優っているといえるであろう。

・修復腎移植と透析医療におけるリスク(危険性)とベネフィット(便益)をよく考え、理性的に判断するべきではないだろうか。

以上。





(参考1)
19年3月31日(土)付 愛媛新聞
生着率 生体腎の半分以下 
学会解析 がん転移可能性も 市立病院病気腎移植

 宇和島徳洲会病院の万波誠医師(66)が前任の市立宇和島病院で行った病気腎移植二十五件について、日本移植学会は三十日、移植された腎臓が機能していることを示す生着率と移植患者の生存率を公表。病気腎移植の生着率は、同病院が単純計算した数値を一般的な解析手法で処理した結果、五年後35・4%、十年後25・3%となり、生体腎の移植成績の半分以下となった。
 東京の厚生労働省で記者会見した同学会幹事の高原史郎大阪大大学院教授(54)は「特にがん関係病気腎の生着率・生存率は低く、移植患者にがんが持ち込まれた可能性は否定できない」との見解を示した。
 市立宇和島病院がまとめた生着率は五年後60・8%、十年後52・1%などとなり、その数値を一般的な解析手法「カプランマイヤー法」で統計処理。同様に解析した同学会の生体腎、死体腎データと比較した。
 市立宇和島病院で実施した一九九三―二〇〇三年とほぼ同時期の一九九二年以降の生体腎、死体腎の移植成績と比べ、病気腎の五年後は生体を48ポイント、死体を33・8ポイント、十年後では44・3ポイント、29ポイントそれぞれ下回っている。がん関係の病気腎十一件では、五年後21・8%となり、生体を61・6ポイント、死体を47・4ポイント下回る。
 病気腎全体の生存率は五年後71・7%。生体を18・3ポイント、死体を12・3ポイント下回り、十年後では差が拡大。がん関係だけでは五年後46・7%、十年後23・3%とさらに差が開いている。
 また病気腎移植二十五件のうち、機能を失い廃絶となったのは十件。移植患者の生存が確認され、移植した病気腎が機能しているのは七件にとどまっている。
 高原教授は、病気腎で生存率が五年後から急激に低くなっている点に注目。「生体腎移植と同じ移植形態だが、生体腎の十年後84%に比べ、23・3%は非常に低い」と指摘し「今後、患者の病状などのバックグラウンドを考慮した上で最終的データを示す」と語った。


(参考2)
19年4月1日付け産経新聞記事
病腎移植「現時点で妥当性ない」 4学会が非難声明
 
 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)らによる病腎移植について、日本移植学会など4学会は31日、「実験的な医療が閉鎖的な環境で行われていたことは、厳しく非難されるべきだ」とする声明を出した。また、病腎移植の医学的可能性については、「現時点では妥当性がない」とする統一見解を出した。
 共同声明に参加したのは、日本移植学会、日本透析医学会、日本泌尿器科学会、日本臨床腎移植学会の4学会。日本腎臓学会は理事会の承認が得られ次第、声明に加わる予定。日本病理学会は声明に参加しなかった。
 声明は、病腎が移植された際、インフォームドコンセント(患者への説明と同意)の文書化や倫理委員会の審査が欠如しており、不透明だったと指摘した。統一見解の根拠には、一部の病院のケースに限ると、腎臓の生着率や患者の生存率が通常の移植より劣ることなどを挙げている。
 日本移植学会などは、今回、岡山や広島で実施された6件の摘出手術について検証した厚労省調査班と、市立宇和島病院で実施された摘出20件、移植25件について検証した同病院調査委の調査結果を参考に声明をまとめた。
 日本移植学会の田中紘一理事長は「現時点では病腎移植に医学的妥当性はなく、実施すべきではない」と強調した。

先延ばし、揺れた方針 病腎移植の統一見解

 病腎移植について日本移植学会など4学会が出した統一見解は、「現時点では妥当性がない」と将来の容認に含みを残し、繰り返し「原則禁止する」と発言していた学会首脳らの方針から後退したものとなった。
 日本移植学会の副理事長らは病腎移植の是非について1月以降、「関連5学会で原則禁止の統一見解を出す」と再三発言。当初は2月中旬の合同会議で見解を取りまとめる予定だったが、下旬に延期。さらに、学会首脳らの任期満了ぎりぎりの3月末まで先延ばししていた。
 臨床現場の医師や患者団体から、病腎移植の容認を求める声が上がる中で、方針が揺れたことをうかがわせる。
 最終的には、見解の内容が後退したうえ、当初予定されていた5学会のうち日本病理学会、日本腎臓学会が今回は参加を見合わせた。代りに、日本移植学会副理事長が以前理事長だった日本臨床腎移植学会が参加する「数合わせ」で、権威を維持した形だ。
 ただ、日本腎臓学会も31日の合同会議には加わっており、今後、学会の理事会で了承されれば名を連ねるとしている。
 声明は、万波誠医師(66)が以前勤務した市立宇和島病院(愛媛県宇和島市)などの調査結果をもとに、4学会の連名でまとめた。
 
# by shufukujin-katudo | 2009-02-04 13:23 | 21.1.30光畑医師学会発表要旨

松屋長崎医療センター泌尿器科医長 講演要旨

「修復腎移植 その可能性と問題点」
松屋 福蔵先生(長崎医療センター泌尿器科医長)

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-プロフィール-
まつや・ふくぞう  1951年、長崎市生まれ。長崎大学医学部卒。同医学部泌尿器科助手、講師を経て、1997年4月から現職(国立病院機構長崎医療センター泌尿器科医長)。1988年、腎臓保存の研究で博士号取得(水素クリアランス法による低温灌流腎の皮・髄質灌流量測定)。現在までに腎移植150例、腎がん手術約300例実施。現在、一般泌尿器科医として日常勤務、後輩の指導に当たる。


講演要旨
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・上記のとおり、修復腎移植について学会は、「現在の医療からはずれている」との見解を発表。
・この問題が出た当初、私は腎がんの修復腎は移植できるのではないかと思った。ただICはどうだったのだろうか・・・など思った。
・しかし、腎不全患者への治療は今から60年前に始まったが、今の医療が完璧というのはおかしい話である。
・医療はまだまだ進行中であり、日進月歩である。
・修復腎移植は、献腎、生体腎移植に次ぐ第3の道となるのではないかと素直に思った。
・医学はサイエンスである。修復腎移植について医学的議論をもっとすべきではないのかと思っている。


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・学会の見解を受け、厚労省からも修復腎移植については、原則禁止の通達が出た。

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・一般的にドナーとなれる腎臓はこのように言われている
・修復腎移植についてはどうかと考えると・・・。
・今までの学会や研究会での発表からも、腎動脈瘤等の悪性腫瘍(がん)でない病腎は、もともと移植をしていたものであり、問題はないと思っている。
・ネフローゼ腎についてはいろいろと議論があるところである。


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・移植を受ける側は、がんがあった腎臓でもいいかどうか。
・長崎県内の腎移植希望登録者74人と透析患者87人を対象に、修復腎移植を希望するかどうかをアンケート調査した。


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・その結果、A,B,Cの条件付きながら修復腎移植を希望するとの回答が、移植希望登録者の43%、透析患者の47%-という結果であった。
・Dの絶対に受けないという患者は、ほぼ同様の40%大であった。
・この結果を20年4月下旬に日本泌尿器科学会総会で発表した。
・移植希望者が1割ほどではだめだが、4割以上の患者が移植をしたいと希望しているのであれば、修復腎移植は医学的にも検討すべきと言える。
・生体腎移植の当てもないまま、腎移植を待たざるを得ない患者さんやご家族の『移植できる腎臓さえあれば』との思いを切実なものとして受け止め、ドナーの適応拡大について議論すべきだと思う。


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・小さな腎がんのうち4センチ以下の小径腎がんについて検討してみたい
・小径腎がんは、全摘出しても部分切除をし残しても、術後の成績は同じと言われている
・学会が、万波医師らの腎摘の方法が違う(血管をしばってからとるべきである)、宇和島は移植用の取り方であり、ドナーに危険があったと非難したが、血管をしばることにどれくらいのがんの転移に対して予防効果があるのかは疑問である
・どれくらい医学的根拠があるのかもう少し冷静にコメントしてもらいたかった

・過去の症例では、腎臓がんがあったドナーから偶発的に移植されたレシピエントで、生体腎で11例、献腎移植で300例あった。中央値は2㎝が一番多く、平均観察年は69ヶ月。
・ところががんの再発はなかった。生着率は1年で100%、3年で100%、5年で90%。
がんの部分をとって移植可能ではないのか・・・という報告が2005年にあった。
・今後症例を重ねる必要はあるが、小さな腎がんの腎臓は、移植に使えるというのは医学的にはある。

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・今後の問題として、ドナーに対してどのように説明するのかなど・・・を検討する必要があると考える。ドナーを大切にしなくてはならない。
・腎摘出前に移植の話はいけない。ドナーあっての移植医療である。医療不信が起きないように手続きを考える必要がある。
・また一定の危険(転移)があるということも理解してもらうしかない。


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・医療の現場では、部分切除でよい小さながんの場合でも、全部とって欲しいという例は確かにある。
・長崎県での推計によれば、100倍すればよいが、摘出する腎臓は年間約13000個ぐらいと聞いている。
その中で4㎝以下の小径腎がんは約4千個。さらにきつく計算しても、200個は安全に使用できる腎臓だと思っている。
・この4㎝以下、若しくは2㎝以下の小径腎がんの場合は、修復腎移植が可能と考えられる。
医療はだれのためにあるのか・・・ということを考える。医師のためではない。
医療界は修復腎移植について、もっとオープンに議論すべきだと思う。

# by shufukujin-katudo | 2008-12-08 18:07 | 12.7松屋長崎医療センター長講演

「移植への理解を求める会」第3回総会・記念講演会



「移植への理解を求める会」
第3回総会・記念講演会

20年12月7日(日)

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あいさつに立つ向田陽二代表

移植への理解を求める会
第3回総会と記念講演会


12月7日(日)午後1時~3時30分
 於:えひめ南農協JA会館5階ホール

式 次 第
▽主催者あいさつ 向田 陽二(移植への理解を求める会代表)
        近藤 俊文(〃 顧問・市立宇和島病院名誉院長)
▽メッセージ紹介

▽記念講演   
講 師 松屋 福蔵先生(長崎医療センター泌尿器科医長)
  テーマ 「修復腎移植 その可能性と問題点」

▽第3回総会(解散総会) 
活動報告・会計報告など審議
意見交換
解散決議

▽NPO法人設立総会 
  設立趣旨・定款・活動方針・活動計画・予算案など審議
決議文採択

▽記者会見 午後3時30分~4時
    
 

-――-―-------―― 第3回総会---------――-―-―
活動報告
2007年
12月27日 会報第9号発行
2008年
 1月10日 厚労省が年度内にも処分の方針
 1月11日 徳州会が最終報告書
 1月20日 シンポジウム「日本とオーストラリアの病腎移植」(東京)
 1月22日 宇和島の自治会が寛大処分求め署名活動開始
 1月27日 万波誠医師らの論文、米国移植外科学会で表彰。トップ10に
 1月30日 「地域への影響大」厚労省に寛大措置要望。宇和島市長
 2月 1日 「空白ないよう配慮を」厚労省に知事が要望
2月 5日 国会議員の臓器移植問題懇談会第5回会合に役員ら出席
2月10日 第2回国際腎不全シンポジウム(東京)
 2月12日 万波誠医師と2病院処分方針固める。厚労省
 2月14日 12万人分の署名国に提出。宇和島市自治会
 2月18日 厚生労働大臣と愛媛社会保険事務局の古本大典局長に「愛媛の地域
  医療破壊に抗議する」要望書提出(宇和島の2基幹病院と万波先生
らの処分方針に抗議)
2月19日 会員ら50人余りが上京。超党派議員連盟と懇談後、厚生労働省を
訪問。松波健太政務官に「愛媛の地域医療破壊に抗議する」要望書。
4万7,000人の署名を追加提出
2月20日 市立宇和島病院「不正請求」50項目超す。返還金2億円、内部留保
で対応
2月21日 国会議員74人で構成する「修復腎移植を考える超党派の会」発足。  
役員ら8人出席        
2月22日 市立宇和島病院への寛大措置求め、四国西南地域の17自治体が厚労       
省に請願書提出
2月25日 愛媛社会保険事務局で宇和島徳洲会病院の聴聞会。役員ら参加(聴聞
は不成立、5月19日に延期)
2月27日 「処分回避を」県議会議長、国に議会の意見書提出し要望 
4月15日 会報第10号発行
4月26日 講演会「レストア腎移植を考える会」(松山)。(堤寛・藤田保健衛生大学教授、高杉敬久・広島県医師会副会長講演)
5月13日 「修復腎移植を考える超党派の会」が修復腎移植「容認」の見解
5月13日 県庁記者クラブで求める会記者会見。修復腎移植を考える超党派の会
  の「容認」見解を歓迎。要望書送付。計71万人余りの署名達成も発表
5月19日 5月19日予定の聴聞延期。厚労省
6月16日 会報第11号発行
6月21日 講演会「患者からみた修復腎移植」(西予市野村町)。(野村正良幹事)
7月 6日 NPO法人設立等についての打ち合わせ
7月 7日 愛媛県議会で講演会。(藤田士朗・フロリダ大学准教授)
8月 3日 原告患者のつどい、NPO法人設立等についての打ち合わせ
8月11日 万波誠医師ら、オーストラリア・シドニーでの「第22回国際移植学会議」に出席 修復腎移植を講演(~14日)
10月 4日 修復腎移植実施を求め、患者原告団が訴訟提起準備で、求める会記者会見。NPO法人化準備も発表。
11月25日 会報第12号発行
12月 7日 第3回総会・記念講演会(解散総会・NPO設立総会)

会計報告
(別 紙)

----------――NPO法人設立総会-----------――
設立の趣旨(案)
(別 紙)
定款(案)
(別 紙)

活動方針(案)
①万波先生らが進めてこられた修復腎移植の実績を、速やかに臨床的に検証、評価し、一日も早く日常的医療として定着させるよう、関係機関に訴える。
 ②移植本来の在り方として、献腎(死後の腎臓提供)を広く呼びかけていく。
③地域医療を守る立場から、市立宇和島病院と宇和島徳洲会病院に対して予想される不当な行政処分に反対し、各種活動を展開する。
④高度な医療技術を持つ万波先生とグループの先生方の医療活動が、今後も継続できるよう、関係機関に要望していく。



▽記念講演   
講 師 松屋 福蔵先生(長崎医療センター泌尿器科医長)
  テーマ 「修復腎移植 その可能性と問題点」


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スライドを使って講演される松屋 福蔵医師(長崎医療センター泌尿器科医長)



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質疑応答される呉共済病院光畑医師



NPO法人設立の趣旨



ドナーに恵まれない移植待機患者を一人でも多く救おうと、宇和島徳洲会病院の万波先生らが進めてきた修復腎移植(レストア腎移植)は、その論文が今年1月、全米移植外科学会のトップテンに入賞し表彰されるなど、海外の関係者から賞賛されています。また、オーストラリアの病院では、修復腎移植が日常的医療として実施されているほか、米国の病院でもその取り組みが始まっています。

治療のため患者から摘出した腎臓を修復して利用する修復腎移植は、献腎(死体腎、脳死腎)と比べ、生着率に遜色がありません。親族の健康な体を傷つける生体腎移植と違って、家族間の葛藤もないうえ、万一、手術が失敗しても、患者と医師の精神的負担が軽いなど、多くのメリットがあります。

しかしながら国内では、日本移植学会など日本の移植関連4学会が昨年3月、「現時点では医学的妥当性がない」との声明を早々と発表し、修復腎移植を全面的に否定しています。これを受けて厚生労働省も、同年7月、臓器移植法の運営指針を一部改正し、臨床研究の道は残すものの、修復腎移植を一般医療として実施することを禁止しました。さらに「特殊な医療で保険適用の対象外である」として、保険適用を認めないことも明らかにしています。その後、修復腎移植の安全性、有効性を示す事実が判明しても、両者は一切、姿勢を変えようとしません。

国内には慢性腎不全のため、透析生活を余儀なくされている患者が27万人もおり、その多くがQOL(生活の質)や延命の優位性から、根治療法である腎移植を望んでいます。しかし、献腎は年間150例前後と極めて少ないことから、平均16年待たなくてはならず、その間に大半の患者が亡くなっています。そこで、やむを得ず、多くの患者が親族の腎臓提供により移植を受けているのが現状です。

こうしたなかで、修復腎移植が実施(再開)されれば、国内で年間約2,000個の腎臓が移植に利用できると推定されており、透析患者にとって移植のチャンスが一挙に10倍以上に増え、大きな福音となることは確実です。

私たち「移植への理解を求める会」(事務局・松山市、会員1、400人)は、平成18年11月に発足して以来、修復腎移植の推進と万波先生らの医療活動の保証などを訴え、講演会やシンポジウム、署名運動を精力的に進めてきました。しかし、まだまだ全国的な広がりを得るまでには至っていません。

そこで今後は、修復腎移植の早期実現に向けて、より多くの人たちの理解と協力を求め、活動の全国展開を図るため、NPO法人を設立します。



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決議文を読み上げる向田代表

決 議 文
 
私たちは、ドナーに恵まれない移植待機患者を一人でも多く救おうと、宇和島徳洲会病院の万波誠先生らが進めてこられた修復腎移植の推進と、先生方の医療活動の継続保証を訴え、これまで、署名運動や講演会開催など、さまざまな活動を続けてきました。
一方、万波先生らが進めてこられた修復腎移植は「ドナー不足を解消する画期的な医療である」として、海外の移植関係者から賞賛されています。またオーストラリアの病院では既に修復腎移植が日常的医療として実施され、大きな成果を上げています。
それにもかかわらず、日本の学会は修復腎移植の妥当性を全面的に否定し、これを受けて厚生労働省も、その可能性を検討することさえせず、原則禁止の方針を打ち出しました。この決定は、多くの患者の移植の機会を奪い、見殺しにするものであり、理不尽で、到底納得できません。
移植への理解を求める会は、学会と厚労省の誤った考えを正し、患者にとって大きな希望の灯である修復腎移植を一日も早く実施するよう、重ねて要請するとともに、その実現の日まで、強力な推進活動を続けていくことを誓います。
 2008年12月7日
                     移植への理解を求める会
                       代表 向田 陽二




記者会見

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# by shufukujin-katudo | 2008-12-08 02:50 | 20.12.7理解を求める会3回総会